要約・英作文に効く語彙力の鍛え方単語の力をつけよう
1. 「読める語彙」と「書ける語彙」は別物1. 読める言葉と書ける言葉
単語帳を1冊仕上げた人でも、要約や意見論述になると good / bad / many / important ばかりを使ってしまう、という悩みはとても多いものです。原因は、単語帳で身につくのが「見れば意味が分かる語彙(受動語彙)」であって、「自分で選んで書ける語彙(能動語彙)」ではないからです。ライティングの採点4観点のうち「語彙」は、難しい単語を知っているかではなく、場面に合った語を選び、正確に使えているかを見ます。
要約問題と意見論述では、必要な語彙の種類が少し異なります。要約では、原文の表現を別の語で言い換える力と、複数の具体例を1語でまとめる抽象語が要ります。意見論述では、理由を展開するための因果・対比を表す表現と、make a decision / have an impact on のような自然な語の組み合わせ(コロケーション)が効きます。この記事では、この4種類を「書ける語彙」にする方法を順に見ていきます。
単語を見て意味が分かるのと、自分で使って書けるのは、べつの力なんだ。テストで点になるのは「書ける言葉」のほう。むずかしい単語じゃなくて、ぴったりの言葉をえらべるかが大事だよ。
2. 類義語は「グループ+使い分けメモ」で覚える2. 似た言葉をセットにする
単語を1つずつ覚えるのではなく、「基本語 → 言い換え候補 → 使い分けの一言メモ」の3列で覚えると、要約でそのまま置き換えに使えます。まず押さえたい頻出グループを挙げます。
| 基本語 | 言い換え候補 | 使い分けメモ |
|---|---|---|
| important | essential / crucial / significant | essential は「欠かせない」、significant は「大きな意味がある」 |
| good(for) | beneficial / helpful / positive | beneficial to/for の形で使う |
| bad / problem | harmful / drawback / issue / concern | drawback は「欠点」、concern は「懸念」 |
| help | support / assist / contribute to | contribute to は後ろに名詞 |
| many / a lot of | numerous / a number of / a wide range of | a number of は「いくつかの」寄り |
| think / say | believe / argue / claim / point out | 要約で筆者の主張を示すときは argue / point out |
| increase / decrease | rise, grow / decline, fall, reduce | reduce は他動詞(〜を減らす) |
たとえば原文に Smartphones are very important for students because they help them study. とあれば、Smartphones are essential for students since they support their learning.(スマートフォンは学習を支えるため、学生にとって欠かせない)と置き換えられます。important → essential、help → support、because → since の3か所を変えただけで、原文コピーではない文になりました。
単語を覚えるときは、同じ意味の別の言葉もいっしょに調べてみよう。important(大事)なら essential、help(助ける)なら support。仲良しの言葉をたくさん知っておくと、まとめるときに楽になるよ。
3. 「抽象化」語彙:具体例を1語にまとめる3. まとめる言葉を知る
要約で語数を削る最大の武器が「抽象化」です。原文に並んだ具体例を、それらをまとめて指す上位の語に置き換えます。これができると、内容を落とさずに語数を半分近くまで減らせます。
- cars, buses, and trains → public and private transportation(交通手段)
- smartphones, tablets, and laptops → digital devices(デジタル機器)
- cleaning parks, visiting elderly people, and teaching children → community activities(地域活動)
- save money, save time, and reduce stress → several benefits(いくつかの利点)
- rules about when and how to use → clear guidelines(明確な指針)
Before: Students can use smartphones to look up words, watch videos about history, and practice math with apps.(18語)
After: Students can use smartphones as learning tools in various subjects.(10語)
「単語を調べる・歴史の動画を見る・アプリで数学を練習する」という3つの具体例を、learning tools in various subjects(さまざまな科目の学習道具)の1句に圧縮しています。要約向けの抽象語として、benefit / drawback / method / measure / consequence / factor / aspect / approach の8語は最優先で「書ける」状態にしておきましょう。
「バス、電車、車」をまとめて「乗り物(transportation)」、「いいところ」を「メリット(benefit)」のように、色々なことを一言でまとめて言える言葉を覚えよう。短くまとめるときの一番の武器だよ。
4. 品詞を変えて言い換える(動詞⇄名詞、形容詞⇄名詞)4. 言葉の形を変える
類義語が思いつかないときでも、同じ単語の品詞を変えるだけで文構造ごと言い換えられます。原文と単語が一部重なっても、文の形が変わっていれば「自分の言葉で書いた」と評価されます。
- 動詞→名詞: The company decided to reduce costs. → The decision of the company to cut costs ...(会社がコスト削減を決めたこと)
- 形容詞→名詞: Sleep is important for health. → The importance of sleep for health ...(健康にとっての睡眠の重要性)
- 動詞→名詞(増減): The number of tourists increased. → the increase in the number of tourists(観光客数の増加)
- 名詞→動詞: There has been a rise in online shopping. → Online shopping has risen.(オンラインショッピングが増えた)
覚えるときは decide – decision、important – importance、grow – growth、rely – reliance、able – ability のようにペアで音読すると、書くときに両方が出てきます。これはパラフレーズの記事で扱う「文構造の言い換え」の土台になる語彙力です。
decide(きめる)→ decision(きめたこと)のように、同じ言葉の形を変えるだけでも、文のかたちが変わって「自分の言葉」になるよ。ペアで声に出して覚えよう。
5. つなぎ言葉は「機能別」に3つずつ5. つなぎ言葉の練習
However と So だけで書かれた答案は、内容が良くても構成の評価が伸びにくいものです。つなぎ言葉は「何をつなぐか」の機能別に、それぞれ3つ持っておくと、同じ語の繰り返しを避けられます。
- 対比: However / On the other hand / In contrast
- 因果(結果): Therefore / As a result / Consequently
- 因果(原因): because / since / due to(due to は名詞が続く)
- 追加: In addition / Moreover / Furthermore
- 例示: For example / For instance / such as(such as は名詞が続く)
- 結論: In conclusion / For these reasons / Overall
要約では、原文の Because of this を Therefore に、Also を In addition に置き換えるだけでも言い換えとして機能します。使い方の詳細はつなぎ言葉の記事にまとめています。
「しかし」「だから」「それに」「たとえば」「けつろんとして」。それぞれ英語で3つずつ言い方を知っていると、同じ言葉ばかりにならないよ。
6. コロケーション:単語は「相棒」ごと覚える6. 仲良しの言葉をいっしょに
意味は合っているのに不自然に見える英文の多くは、語の組み合わせ(コロケーション)が原因です。日本語の「決定をする」を直訳して do a decision と書くと、文法的には通っても語彙の評価が下がります。単語は「一緒に使う動詞・前置詞」ごとに覚えましょう。
| Before(直訳) | After(自然な組み合わせ) | 意味 |
|---|---|---|
| do a decision | make a decision | 決定する |
| give a bad influence to | have a negative impact on | 〜に悪影響を与える |
| solve the environment | address environmental problems | 環境問題に取り組む |
| get experience | gain experience | 経験を積む |
| take an important role | play an important role in | 〜で重要な役割を果たす |
| raise the awareness to | raise awareness of | 〜への意識を高める |
コロケーションを一番効率よく拾える教材は、自分の答案に対する模範解答です。自分が get experience と書いた箇所が模範解答で gain experience になっていたら、その差分こそ覚えるべき「相棒」です。
「きめる」は do じゃなくて make a decision。単語には仲良しの相手がいるから、いっしょに覚えようね。AIのお手本を見ると、「こうやって使うんだ!」ってよくわかるよ。
7. 級ごとの到達目標:2級・準1級・1級7. 級ごとのめあて
- 2級: 基本語 20 個程度に言い換え候補を1つずつ持つ(important → essential など)。抽象語は benefit / problem / way の3つが使えれば十分。コロケーションは make / have / take の使い分けを固める。
- 準1級: 言い換え候補を2つ以上に増やし、consequence / measure / factor / approach などの抽象名詞で具体例をまとめられるようにする。品詞転換(decide → decision)を要約で意識的に使う。
- 1級: mitigate(緩和する)/ exacerbate(悪化させる)/ foster(育む)/ undermine(損なう)/ outweigh(上回る) のように、抽象的な因果関係を1語で正確に表す動詞を「書ける」状態にする。ただし難語は意味が確実なものだけ使い、迷ったら平易な語で正確に書くほうが評価は高い。
2級では、よく使う単語20個くらいに「別の言い方」を1つずつ持てればOK。上の級になると、使える言い方をもっとふやしていくよ。
8. よくある失敗と直し方(Before → After)8. よくある失敗と直し方
- 難しい単語を無理に使って意味がずれる。
Before: We should utilize the environment.
After: We should protect the environment.
utilize は「利用する」で、環境を「守る」文脈には合いません。語彙の評価は難易度ではなく適切さで決まります。 - 日本語の意味で英単語を使う(和製英語・直訳)。
Before: I challenged the exam last year.
After: I took the exam last year.
challenge は「(人・考えに)異議を唱える」が中心で、「挑戦する」の意味では try / take を使います。同様に claim は「主張する」で「クレームを言う」ではありません。 - 同じ語を3回以上繰り返す。
Before: Smartphones are useful. Smartphones help us. Smartphones are important.
After: Smartphones are useful because these devices help us in many ways.
2回目以降は these devices / they / such tools のように指し方を変えます。 - 抽象語だけで具体性がなくなる(意見論述)。
Before: Technology has many benefits for society.
After: Technology has many benefits for society. For example, online classes allow students in rural areas to learn from top teachers.
要約では抽象化が武器ですが、意見論述では抽象語の後に必ず具体例を1文つけます。
むずかしい単語をむりに使って意味がずれるより、かんたんな単語で正しく書くほうが点が高いよ。同じ言葉を3回も使わないように、2回目は they や these にしてみよう。
9. 明日からできる「1日15分」語彙トレーニング9. 毎日15分の練習
- 言い換えノート(5分): 今日読んだ英文から基本語を3つ選び、「基本語/言い換え/使い分けメモ」の3列で書く。週末に見返して、書けなかったものだけ残す。
- 抽象化クイズ(3分): 身の回りの具体例を3つ挙げて(例: 米・パン・麺)、まとめる英語1語(staple foods)を考える。要約の「圧縮」の筋トレになります。
- 差分学習(7分): 自分の答案と模範解答を並べ、語の選び方が違う箇所を3つ抜き出してノートへ。練習をはじめるで添削を受けると、4観点のうち「語彙」の評価とアドバイス、模範解答が返るので、この差分を毎回取れます。
ノートに書いた語は、次に書く答案で意図的に1回使うまでが1セットです。使って添削で問題がなければ、その語は「書ける語彙」に昇格したと考えてよいでしょう。1週間で 15〜20 語のペースでも、1ヶ月続けば要約・英作文の語の選択肢は目に見えて広がります。
毎日3つ、「別の言い方」をノートに書こう。それから、AIのお手本と自分の文をくらべて、ちがう言葉を3つ見つけてね。次に書くときに1回使えたら、その言葉はもう自分のものだよ。
10. まとめ10. まとめ
- 採点で見られるのは難語の知識ではなく、「場面に合った語を選んで正確に使えるか」。読める語彙を書ける語彙に変えるのが目標。
- 類義語は「基本語/言い換え/使い分けメモ」の3列で覚え、要約の置き換えに直結させる。
- 要約は抽象化(具体例→上位語)と品詞転換で圧縮する。意見論述は抽象語の後に具体例を1文つける。
- つなぎ言葉は機能別に3つずつ、単語はコロケーション(相棒)ごと覚える。
- 毎日15分の「言い換えノート+差分学習」を続け、書いた語を次の答案で1回使って定着させる。
同じ意味の別の言葉、まとめる言葉、仲良しの言葉。この3つを毎日すこしずつふやして、次に書くときに使ってみよう。