言い換えのテクニック言い換えのテクニック
1. なぜ言い換えが必要か1. なぜ言い換えが必要か?
英検の要約問題は「内容」「構成」「語彙」「文法」の4観点で採点されます。このうち「語彙」は、課題に合った語を適切に、そして幅広く使えているかを見る観点です。原文の文をそのまま抜き出してつなげた答案は、たとえ英語として正しくても「自分の語彙で書いた」証拠がないため、この観点で高い評価を得にくくなります。
言い換え(パラフレーズ)には、もう1つ実務的な効果があります。原文の1文をそのまま使うと20語近くになりがちですが、言い換えながら書くと自然に短くなり、2級の45〜55語という語数制限に収まりやすくなるのです。つまりパラフレーズは「語彙点を取る技術」であると同時に「語数を守る技術」でもあります。
ただし目的を忘れないでください。言い換えは意味を変えずに行うものです。難しい単語を使ったために意味がずれれば、「語彙」で得た分を「内容」で失います。「知っている単語で、確実に同じ意味になる」言い換えを積み重ねるのが正解です。
英検では、どれくらい単語を知っているかも見られているよ。元の文をそのまま写すと、「自分の言葉で書けた」ことが伝わらないんだ。でも、意味が変わってしまったらダメだよ。知っている言葉で言い換えよう。
2. 手法1: 類義語への言い換え2. 似た意味の言葉を使う
最も基本的な方法は、意味が近い別の単語(類義語)に置き換えることです。要約の原文で頻出する語について、2級〜準1級で無理なく使える言い換え候補をまとめました。
| 原文の語 | 言い換え候補 | 注意点 |
|---|---|---|
| important | essential, vital, crucial | essential は「欠かせない」とやや強い |
| use | make use of, rely on, adopt | adopt は「導入する」の場面で |
| help | support, assist, benefit | benefit は「〜に利益をもたらす」 |
| problem | issue, concern, drawback | drawback は「欠点」の意味に限る |
| increase (動詞) | grow, rise, expand | rise は自動詞。目的語をとらない |
| many people | a growing number of people, the public | 「増えている」文脈でのみ growing を使う |
| say / think (筆者・専門家) | argue, claim, point out, believe | claim は「主張する」で疑いのニュアンスを含むことがある |
注意点の列を見てください。類義語は「ほぼ同じ」であって「完全に同じ」ではありません。kids を children にするのは安全ですが、cheap を inexpensive にするのは安全、cheap を low-quality にするのは意味が変わります。辞書で見つけた語を初めて使うのは本番ではなく練習のときにしましょう。
いちばん簡単なのは、似た意味の別の言葉を使うことだよ。
- important → essential
- help → support
- problem → issue
- kids → children
ただし、意味が少しちがう言葉もあるから、知っている言葉だけ使おうね。
3. 手法2: 品詞を転換する3. 言葉の形を変える
動詞を名詞に、形容詞を名詞に変えると、単語だけでなく文全体の構造が変わります。単語を1つ差し替えるより「自分の英文」らしくなり、語数の調整もしやすくなります。
- Before: The number of tourists has increased rapidly.
After: There has been a rapid increase in tourists.
(動詞 increase → 名詞 increase、副詞 rapidly → 形容詞 rapid) - Before: Many people are worried about their health.
After: Health is a major concern for many people.
(形容詞 worried → 名詞 concern。主語も入れ替わる) - Before: Schools decided to ban smartphones.
After: Schools made a decision to ban smartphones.
(動詞 decide → 名詞 decision。語数を1語増やしたいときにも使える)
「決める(decide)」を「決心する(make a decision)」にするみたいに、言葉の形を変えるやり方だよ。「増えた(increased)」を「増加があった(there was an increase)」にしても、自分の文っぽくなるよ。
4. 手法3: 能動態と受動態を入れ替える4. 言い方の向きを変える
「AがBを〜した」を「BがAによって〜された」と書き換える手法です。意味は変わりませんが、文の主役が入れ替わるため、原文の写しには見えなくなります。要約では「動作をした人が重要でない」場合に受動態にして by 以下を省くと、語数も節約できます。
- Before: The city built new bicycle lanes last year.
After: New bicycle lanes were built last year.
(「誰が」より「何が起きたか」が要点なら by the city は省ける) - Before: Online shopping is used by more and more people.
After: More and more people shop online.
(逆に受動態→能動態にして短くする例。9語→6語)
「先生が僕を褒めた」を「僕は先生に褒められた」にするみたいに、反対から言ってみる方法だよ。「だれが」が大事じゃないときは、「だれが」を省いて短くできるよ。
5. 手法4: 具体をまとめて抽象語にする5. 一言でまとめて言う
「リンゴやバナナ」を fruits、「車や電車」を transportation とまとめるように、具体的なものを上位のカテゴリー語で言い表します。要約では最も語数を削れる手法で、「細部と要点を区別できている」ことも示せます。
- Before: They can play games, watch videos, and chat with friends in class.
After: They can be distracted by entertainment in class. - Before: Farmers, fishermen, and factory workers are getting older.
After: Workers in primary and manufacturing industries are aging. - Before: People throw away plastic bottles, bags, and food containers.
After: People discard large amounts of plastic waste.
まとめる語が思いつかないときは「such as」で代表例を1つだけ残す方法もあります。「plastic waste such as bottles」なら、抽象語と具体例の両方を短く示せます。
「りんご、バナナ、みかん」を「フルーツ」って呼ぶみたいに、仲間の名前でまとめて呼んであげよう。「ゲーム、動画、チャット」は「遊び(entertainment)」にまとめられるね。これで文が短くなってスッキリするよ!
6. 手法5: 構文を圧縮する6. 文の形を短くする
単語ではなく文の組み立てを変える手法です。原文の2文を1文に、節を句に圧縮すると、言い換えと語数削減が同時に達成できます。準1級以上では特に効果的です。
- because 節 → due to / thanks to 句:
Before: Cycling has become safer because the city built more lanes.
After: Cycling has become safer thanks to new lanes. - 関係代名詞 → 分詞・形容詞:
Before: families who cannot afford good Internet
After: families without good Internet / low-income families - 2文 → 1文(分詞構文・接続詞):
Before: Tablets save time. Teachers can prepare lessons more easily.
After: Tablets save time, allowing teachers to prepare lessons more easily. - It is … that → 副詞1語:
Before: It is clear that this trend will continue.
After: This trend will clearly continue.
2つの文を1つにつなげたり、「〜だから(because)」を「〜のおかげで(thanks to)」にしたりして、文の形を変える方法だよ。言い換えと短くするのが、いっぺんにできるよ。
7. 実例:原文の1段落を言い換えてみる7. 実際にやってみよう
5つの手法を組み合わせて、原文の1段落を要約の1文に直します。
In many cities, the number of people who ride bicycles to work has grown rapidly. Cycling is cheaper than driving, and it helps people stay healthy. Local governments have also built more bicycle lanes, which makes cycling safer.
(訳)多くの都市で、自転車で通勤する人の数が急増している。自転車は車より安く、健康維持にも役立つ。地方自治体も自転車レーンを増設し、自転車利用はより安全になっている。
Commuting by bicycle has become increasingly popular in urban areas because it is inexpensive, good for health, and safer thanks to new lanes built by local authorities.
(訳)自転車通勤は、安価で健康によく、自治体が整備した新しいレーンのおかげで安全になったため、都市部でますます人気になっている。
使った手法を確認しましょう。ride bicycles to work → commuting by bicycle(品詞転換)、the number … has grown → has become increasingly popular(類義表現)、cities → urban areas、cheaper → inexpensive、local governments → local authorities(類義語)、which makes cycling safer → safer thanks to new lanes(構文圧縮)。3文38語が1文28語になり、原文と同じ単語は bicycle、health、lanes、local などの核となる語だけです。
上の例では、「自転車で会社に行く人が増えた」「安い」「健康にいい」「安全になった」を、別の言葉で1つの文にまとめているよ。3文が1文になったね。
8. よくある失敗と直し方8. よくある失敗と直し方
- 失敗1: 意味が強くなる・弱くなる
Before: Some students find it hard to concentrate. → Students cannot study at all.
After: Some students have trouble concentrating.
some を落として全員の話にしたり、「難しい」を「不可能」にしたりすると、原文にない主張になります。程度を表す語(some, many, often, slightly)は必ず残しましょう。 - 失敗2: 難語を誤用する
Before: The government helps poor families. → The government subsidizes impoverished households.
After: The government supports low-income families.
辞書の上位候補を並べただけの文は、綴りや用法のミスを招きやすく、文法点まで失います。自分が読んで意味が分かる語に留めてください。 - 失敗3: 核となる語まで無理に変える
Before: tablet computers → portable electronic devices
After: tablets
固有名詞や主題そのものの語(tablet, Internet, plastic)は変えなくて構いません。変えると何の話か分からなくなります。 - 失敗4: 単語だけ変えて文の骨格は丸写し
Before: Some pupils find it tough to focus because they can play games or watch videos.
After: Some students get distracted by games and videos.
1語ずつ置き換えても構造が同じなら写しに見えます。動詞を変えて文を組み直すのが本当の言い換えです。
よくあるまちがいは、言い換えたら意味が変わってしまうこと。「何人かの生徒(some students)」を「生徒みんな」にしたらダメだよ。それと、むずかしすぎる言葉を使ってスペルをまちがえるのも損だよ。
9. 級ごとの違い:どこまで言い換えるか9. 級によるちがい
- 2級(45〜55語): 類義語(手法1)と抽象化(手法4)ができれば十分。各文の動詞を1つ変え、具体例を1つのカテゴリー語にまとめることを目標にする。無理に難しい語を使うより、正確さを優先する。
- 準1級(60〜70語): 品詞転換(手法2)と構文圧縮(手法5)が差になる。原文の2文を1文にまとめる練習をしておくと、語数内に「利点」と「問題点」の両方を入れやすくなる。
- 1級(90〜110語): 原文自体が抽象的なので、さらに抽象化すると内容が消える。むしろ「誰の主張か」を明示する動詞(argue, contend, acknowledge, dismiss)の使い分けや、複数の論点を1文で対比する構文(while, whereas)が評価される。
2級では、似た言葉を使うことと、まとめて言うことができれば十分だよ。級が上がると、文の形を変える力も必要になるんだ。
10. 明日からできる練習法10. 明日からできる練習
言い換えは知識ではなく反射で出せるようにする必要があります。次の3ステップを1日10分で回すと、本番で考えずに手が動くようになります。
- 1文リライト: 教科書や過去問から英文を1文選び、意味を変えずに2通りに書き換える(1つは類義語で、1つは構文を変えて)。
- 自分用の言い換え帳: 要約の原文に出た語のうち、本番でも出そうな語(increase, problem, important, help, use など)について「自分が確実に使える言い換え」を1〜2個だけ書き溜める。10個でも安定して使えれば十分です。
- 原文を見ずに書く: 段落を読んで日本語メモを作り、原文を閉じてから英文にする。写せない状況に置くと、言い換えは自然に起きます。
書いた要約は練習画面に入力すると、4観点の評価と模範解答が返ってきます。模範解答と自分の文で「同じ内容をどう別の語で表したか」を見比べるのが、言い換え帳を増やす最短ルートです。要約全体の組み立ては要約問題の基本構成も合わせて読んでください。
まいにち英語の文を1つ選んで、意味を変えずに別の言い方にしてみよう。自分が使える言い換えをノートに集めると、テストで役に立つよ。
11. まとめ11. まとめ
- 言い換えは「語彙」の評価を上げると同時に、語数を制限内に収める技術でもある。
- 5つの手法:類義語、品詞転換、能動・受動の入れ替え、抽象化、構文圧縮。動詞を変えると文の骨格が変わる。
- 意味を変えないことが最優先。程度を表す語(some, many)を落とさず、確実に使える語だけを使う。
- tablet、Internet など主題の核となる語は変えなくてよい。
- 2級は類義語と抽象化、準1級は構文圧縮、1級は主張の帰属を示す動詞の使い分けが鍵。
- 似た言葉に変える、まとめて言う、文の形を変える。
- 意味を変えないのがいちばん大事。
- 知っている言葉だけ使う。
- まいにち1文、言い換えの練習をしよう。