つなぎ言葉を使いこなそうつなぎ言葉を使いこなそう
1. つなぎ言葉は「構成」点の目印になる1. 文章の「接着剤」
英検のライティングは「内容」「構成」「語彙」「文法」の4観点で採点されます。このうち「構成」は、文と文の関係が読み手に伝わる順序・つながりで書けているかを見る観点です。文をただ並べただけの答案は、内容が正しくても「どこが理由で、どこが反論で、どこが結論か」を読み手が推測しなければならず、この観点で評価が伸びません。
つなぎ言葉(ディスコースマーカー)は、その関係を1語で宣言する道具です。「However,」と書けば「ここから反対の話」、「Therefore,」と書けば「ここから結論」と、読む前に構造が伝わります。要約は3〜5文と短いので、各文の頭に置くつなぎ言葉がそのまま答案の骨組みになります。
もう1つ、要約に特有の効果があります。原文の第2段落が「However,」で始まっていることは多いのですが、要約で同じ位置に同じ語を置けば「原文の論理構造を正しく読み取った」ことが採点者に伝わります。つなぎ言葉は語彙の飾りではなく、読解の証明でもあるのです。
文と文をただ並べるだけでは、つながりが分かりにくいよ。「でも(However)」「だから(Therefore)」のようなつなぎ言葉を文の頭に置くと、読む人に「ここから反対の話だよ」「ここがまとめだよ」と伝わるんだ。
2. 分類別つなぎ言葉リスト(語数つき)2. 便利なつなぎ言葉リスト
要約と意見論述で使う頻度が高いものを、意味の分類ごとに整理しました。語数を併記しているのは、要約では1〜2語の差が語数制限に響くからです。同じ意味なら短いものと長いものを1組ずつ覚えておくと、語数調整にも使えます。
| 分類 | つなぎ言葉(語数) | 使う場面 |
|---|---|---|
| 逆接・対比 | However, (1) / On the other hand, (4) / In contrast, (2) / Nevertheless, (1) | 利点の後に問題点を出すとき。要約の2文目の定番 |
| 因果・結果 | Therefore, (1) / As a result, (3) / For this reason, (3) / Consequently, (1) | 問題点から提案・結論へ進むとき |
| 追加・列挙 | In addition, (2) / Furthermore, (1) / Moreover, (1) / Also, (1) | 同じ方向の理由を重ねるとき |
| 例示・具体化 | For example, (2) / For instance, (2) / such as (2) | 意見論述向き。要約では具体例を削るので使う機会は少ない |
| 結論・要約 | In conclusion, (2) / To sum up, (3) / Overall, (1) | 意見論述の最終段落。要約では Therefore の方が自然 |
| 譲歩 | Although (1) / While (1) / Despite (1) | 「〜だが」を1文の中で処理する。準1級以上で有効 |
- 反対(でも): However, / On the other hand,
- 結果(だから): Therefore, / As a result,
- つけたし(さらに): In addition, / Also,
- たとえば: For example,
- まとめ: In conclusion,
3. 要約の3文構成にどう置くか3. 要約のどこに置く?
要約の基本形は「導入→展開(対比)→結論」の3文です。1文目にはつなぎ言葉を置かず、2文目に逆接、3文目に因果を置くのが最も安定した型です。次の例で確認してください。
More and more companies allow employees to work from home because it saves commuting time and office costs. However, some workers feel isolated, and it is harder for managers to check progress. Therefore, many experts suggest combining remote work with regular days in the office.
(訳)通勤時間とオフィス費用を節約できるため、在宅勤務を認める企業が増えている。しかし、孤立を感じる社員もおり、管理職が進捗を確認しにくい。そのため多くの専門家は、在宅勤務と定期的な出社を組み合わせることを提案している。
1文目の中の because、2文目の However と and、3文目の Therefore が、それぞれ「理由」「転換」「並列」「結論」を示しています。文頭のつなぎ言葉は2つだけですが、文中の because と and も立派なつなぎ言葉です。要約ではこの「文頭2つ+文中1〜2つ」で十分で、それ以上増やすと語数を圧迫します。
準1級で4文にするときは、2文目を「In addition,」で利点を追加し、3文目を「However,」、4文目を「Therefore,」にします。要約の組み立て全体は要約問題の基本構成を参照してください。
要約は3文で書くのが基本だよ。1文目はそのまま、2文目は「However,(でも)」、3文目は「Therefore,(だから)」で始めると、きれいな流れになるよ。
4. 文法の落とし穴:副詞・接続詞・前置詞の違い4. 使い方のルール
つなぎ言葉のミスの大半は「品詞の混同」から起きます。同じ「しかし」でも、However は副詞、but は接続詞、despite は前置詞で、文の中での振る舞いがまったく違います。この区別は「文法」観点に直結します。
- 副詞(However, Therefore, In addition, As a result): 文頭に置き、直後にコンマ。2つの文をつなぐ力はないので、前の文はピリオドで終える。
○ Tablets are useful. However, some students get distracted.
× Tablets are useful, however some students get distracted. - 接続詞(but, because, although, while, so): 2つの節を1文の中でつなぐ。文頭の but は避け、前の節の直後にコンマ+but の形で使う。
○ Tablets are useful, but some students get distracted.
× Because tablets are useful. (because 節だけで文を終えると文の断片になる) - 前置詞(despite, in spite of, due to, thanks to): 後ろには名詞(句)のみ。節(主語+動詞)は置けない。
○ Despite these benefits, some students get distracted.
× Despite tablets are useful, some students get distracted.
覚え方は「副詞はピリオドの後、接続詞はコンマの後、前置詞は名詞の前」です。迷ったら、副詞を文頭に置いてコンマを打つ型に統一すれば安全です。
However や Therefore を文の最初に使うときは、後ろに「,(コンマ)」を付けて、前の文は「.(ピリオド)」で終わらせるルールだよ。but は文の途中で「, but」と使おう。
5. Before/After:つなぎ言葉で要約が変わる5. 直す前と直した後
内容は同じでも、つなぎ言葉の有無で読みやすさがどれほど変わるかを見てみましょう。
Before: Many cities are planting more trees. Trees make the air cleaner. Trees need a lot of water and care. Some cities cannot afford this. Cities should choose trees that are easy to look after.
(訳)多くの都市が木を増やしている。木は空気をきれいにする。木には多くの水と手入れが必要だ。それを負担できない都市もある。都市は手入れしやすい木を選ぶべきだ。
5文がすべて同じ重さで並んでおり、どこが利点でどこが問題か、最後の文が誰の提案なのかが読み取れません。文も短く途切れています。
After: Many cities are planting more trees because they make the air cleaner. However, trees need a lot of water and care, which some cities cannot afford. Therefore, experts recommend choosing trees that are easy to look after.
(訳)空気をきれいにするため、多くの都市が木を増やしている。しかし木には多くの水と手入れが必要で、それを負担できない都市もある。そのため専門家は、手入れしやすい木を選ぶことを勧めている。
because で理由を1文目に吸収し、However で問題点への転換を示し、which で「それを負担できない」を前の文に接続、Therefore で結論に入りました。5文38語が3文40語になり、語数はほぼ同じなのに論理の流れが一目で分かります。
上の「Before」は、短い文がバラバラに並んでいて、どこが「いいこと」で、どこが「困ること」か分かりにくいね。「After」では because、However、Therefore を入れて3文にしたから、流れがスッキリしたよ。
6. よくある失敗と直し方6. よくある失敗と直し方
- 失敗1: 意味が重複する(But … however)
Before: But however, some students get distracted.
After: However, some students get distracted.
同じ働きの語を重ねると、文法ミスとして扱われます。1文に逆接は1つ。 - 失敗2: 論理関係が合っていない
Before: Tablets save time. However, teachers can prepare lessons faster.
After: Tablets save time. In addition, teachers can prepare lessons faster.
2文目は1文目と同じ方向(利点)なのに逆接を置いています。つなぎ言葉を置く前に「前の文と反対か、同じ方向か、結果か」を確認しましょう。 - 失敗3: コンマの抜け・位置違い
Before: However some students get distracted. / As a result experts suggest …
After: However, some students get distracted. / As a result, experts suggest …
文頭の副詞句の直後にはコンマ。小さなミスですが、答案全体で繰り返すと「文法」で確実に響きます。 - 失敗4: すべての文につなぎ言葉を置く
Before: Firstly, tablets are common. Moreover, they are useful. However, some students get distracted. Furthermore, some families lack Internet. Therefore, …
After: Tablets have become common because they are useful. However, some students get distracted, and some families lack Internet. Therefore, …
5文中5つは多すぎです。要約では文頭2つが上限と考え、並列は and で処理しましょう。 - 失敗5: 要約で In conclusion を使う
Before: In conclusion, experts say schools should teach responsible use.
After: Therefore, experts say schools should teach responsible use.
In conclusion は「自分の論を締める」語で、意見論述向きです。要約の最終文は原文の結論を伝えるので、因果を示す Therefore / As a result が自然です。
よくあるまちがいは、「But」と「However」をいっしょに使うこと、コンマを忘れること、ぜんぶの文につなぎ言葉を付けてしまうことだよ。それと、同じ方向の話なのに「でも」を使わないように、前の文との関係を確かめようね。
7. 意見論述でのつなぎ言葉7. 意見を書く問題では
意見論述(2級80〜100語、準1級120〜150語、1級200〜240語)では、要約より文が多い分、つなぎ言葉の出番も増えます。ただし役割は変わり、「自分の主張→理由1→理由2→結論」という段落構造を示すのが仕事になります。
- 主張: I believe that … / In my opinion, … (つなぎ言葉は不要)
- 理由1: First, … / To begin with, … の後に、For example, で具体例を1つ。
- 理由2: Second, … / In addition, … の後に、As a result, で結果を述べると理由が深まる。
- 結論: In conclusion, … / For these reasons, … で主張を言い換えて締める。
First / Second は「1つ目・2つ目」を示すだけで論理関係は表しません。そのため、理由の中で「なぜそう言えるか」を示す because や As a result を組み合わせることが、内容点と構成点を同時に伸ばすコツです。意見論述の書き方全体は意見論述の書き方で扱っています。
自分の意見を書く問題では、「First,(1つ目に)」「Second,(2つ目に)」「In conclusion,(まとめると)」で、理由と結論の順番を見せるよ。
8. 級ごとの違い8. 級によるちがい
- 2級: However / Therefore / In addition / because / and の5つを正確に使えれば十分。コンマとピリオドの位置を間違えないことが最優先。凝った語より「型どおり」の安定感が得点になる。
- 準1級: 4文構成になるため、逆接を However と While(譲歩)で使い分けたり、因果を As a result と Therefore で書き分けたりする幅が必要。「Although … , …」で利点と問題点を1文に収める技術が語数調整にも効く。
- 1級: 複数の立場を整理するので、対比(In contrast, Whereas)、譲歩(Nevertheless, Admittedly)、帰結(Consequently, Hence)を文脈に応じて選ぶ。同じ語の繰り返しを避け、「誰の主張か」を示す主語(Critics, Supporters, The author)と組み合わせて論点の地図を描く。
2級では However、Therefore、In addition、because、and の5つを正しく使えれば十分だよ。級が上がると、もっといろいろなつなぎ言葉を使い分けるようになるんだ。
9. 明日からできる練習法9. 明日からできる練習
- 原文のマーカー探し: 過去問や教科書の説明文を読み、However / Therefore / In addition などを丸で囲む。「原文がどこで転換し、どこで結論に入るか」を見つける練習は、そのまま要約の設計図になります。
- 3文テンプレート: 「(導入)because …. However, …. Therefore, ….」の空欄に、読んだ文章の要点を埋める。まず型を固定し、慣れたら In addition を足して4文に。
- 抜き取りチェック: 自分の書いた要約からつなぎ言葉をすべて消して読み、それでも意味が通るかを確かめる。通らなければつなぎ言葉に頼りすぎ、通りすぎるなら不要な語がある可能性があります。
練習画面で要約を添削すると、「構成」の評価とともに文のつながりについての指摘が返るので、どのつなぎ言葉が効いていて、どれが余計かを客観的に確認できます。
英語の文章を読むときに、However や Therefore を丸で囲んでみよう。そして「〜 because …. However, …. Therefore, ….」の形に、読んだことを入れて3文書く練習をしてみよう。
10. まとめ10. まとめ
- つなぎ言葉は「構成」点の目印。要約では文頭に2つ(逆接+因果)、文中に because / and が基本。
- 副詞(However)はピリオドの後+コンマ、接続詞(but)はコンマの後、前置詞(despite)は名詞の前。
- 置く前に「前の文と反対か、同じ方向か、結果か」を確認する。But however のような重複は禁止。
- 要約の最終文は In conclusion ではなく Therefore / As a result で原文の結論を伝える。
- 2級は5語を正確に、準1級は譲歩の Although / While、1級は対比・帰結の使い分けまで。
- 2文目は However、3文目は Therefore。
- However の後にはコンマ。
- But と However はいっしょに使わない。
- ぜんぶの文に付けなくていい。